いろいろ思うことあって。

中絶された子供の遺骸の写真を携帯で見た。
最初のがすごすぎて見るのを止めようかとも思ったけれど、見続けた。
ショッキングだったけれど、目を逸らしたいとは思わなくなった。ちゃんと処置をすれば生きていけるくらいになっている子供の姿。丸まって白いバケツに入っていた。
その写真を見たとき、変かもしれないけど救われた自分がいた。
あたしの子供は小さすぎたから実感がわかないからかもしれないけれど、こんなあたしの元に生まれてこなくて良かったんじゃないかという思いが頭をよぎった。


あたしも親の子供なのに、「結論は決まってるんだから話すことは無い。」と言って、家に挨拶に来た彼に会おうともしなかった父親。「こんなことになるために今まで育ててきたわけじゃない。」と言った母親。
物凄く不信感でいっぱいで、本当に鬼だと思った。
あたしが入院した枕元で泣いたくせに、飼い始めた犬を「孫みたいね。」と言って喜んでいるなんて、無神経すぎる発言にも腹が立った。


でも、あたしも鬼だなと思った。鬼以外の何者でもない。
やっぱりバファリンを大量に飲んでしまったことは、正常は反応だったんだろうと思う。それでも働きに行って、生活していられる彼の方が信じられない。いくらでも無神経なことができる親も信じられない。


あたしは相変わらず学習能力が無くて、何も変わっていない。ただ、セックスに関して面倒くさくなったら、途中で放棄してもいいっていうことにしようと思う。男には同情しない方向で。
相手のこととか考えちゃうから変なことになるんだわ。一瞬の快楽どころじゃない。最近気持ち悪い。耐えられなくて涙が出ちゃう。


こんな人でも子供作っちゃうんだって思ったり、どんなアホでもセックスだけはするんだって思ったり。みんな同じことしてピーチクパーチク言ってるわけで。嫌になっちゃう。
もっと自分にしか出来ないことをしてもいいと思うんだけど。周りを見ているとみんな普通に生活していて、生活していくのにそれなりに意欲があって、自分の世界があって、病んでいない。どうしてあたしはこんなにアホになっちゃったのかなって思う。明らかに病んでるし。


カウンセリング受けなきゃいけないのかもしれないけれど、前の学校みたいに時間が取れるわけじゃないし。
今手元にバファリンAがあったら、飲んでしまうかもしれない。


西に行って、水商売でも何でもやりながら生きていこうと思ったりもしていた。生きる場所くらい自分で選んだっていいだろうと思った。
俊ちゃんとのことだって、消耗し尽くして納得がいくんだったら、そこまでやっても構わないと思ってた。


大学が始まって、意外に楽しくて。クラスメイトと一緒にいて楽しいときもあるし。
それでも、自分がダメすぎて、何故か敗北感みたいなものに打ちのめされて、車に逃げ帰って高速を飛ばす。
車に帰れば大丈夫って思っていたのだって、崩壊し始めてる。自分で手に入れたわけではない物にばかり囲まれて、あたしのウリってそこにしかなくて、なんて無様なのかしら。


死ぬくらいなら何でもできると思う。西に行ってどうするんだろ。学歴だ、世間体だ、とか所詮そんなことの為に子供を捨てたのに、結局学校を捨ててあたしに何が残るんだろう。価値なんて無い。


一枚の紙で子供を殺すことができるなんて。未だにあの紙にサインした自分はおかしかったんじゃないかと思うときがある。何も考えないようにしていたに違いないんだけれど。


もうどうにかなるような話じゃない。もう戻らない。そう自分に言い聞かせ続けて。痛みが安心に変わろうとしてる。


ミルに対して冷たいと自分を思ってから、あたしは自分が思ってたより冷酷な人間だと気付いた。おまけに、ときどきスイッチが飛んでしまって、殴打が止まらなくなったりする。痛いのわかっているのに。
結局親と同じことしかできていない。何も改善されていない。


数日前、母親が伊豆に行ってしまった間、ミルを猫かわいがりする人がいなくなったせいか、自然にミルに優しくできていた。前より少し絆が強くなった気がする。


親によって病んでいるとしか思えないとこの間言われたけれど、親が死んだら死んだで、あたしはきっと何をやったらいいのか路頭に迷ってしまうような気もする。自由が急に降ってきたら動き出せなくなるというか。
一人になったとき、自分でサラッといけるように、今からその辺考えておかなきゃ。


かわいいのに、かわいいと素直に思えない自分、残酷になってしまえる自分がいる。ミルが行方不明になってしまったら、それもそれで仕方が無いから、誰かにかわいがって生きていくようにとしか思えなかったし。今は少しずつ考えが変わってきている気がするから、いい方向に行っているのかもしれない。


それにしても、ミルがお父さんに抱っこされて撫でられているのを見ていると、あたしの心まで満たされていくような気がするのは何故だろう。
すごく幼かった頃のお父さんがとても恋しい。すべてが変わってしまったんだって痛感するしか無いみたいで、苦しい。あたしが全部悪かったんじゃないかって思う。お父さん、ごめんなさい。
お母さんも、困らせて苦しめて、ごめんなさい。