夜中のデート。

久しぶりに飲みに行った。ミルを連れてシングルを借りに行こうと思って家を出ただけだったけど、駅まで歩いてI泉さんに久々に会いに行って、その後お店に顔を出した。
気まずかったから行かなかったんだけど、扉を開けたら今日はイベントで。


ミルがおとなしくしてくれるといいんだけど、と思いながらチャージを払っていたら、N富さんが来た。


選曲が良かった。楽しかった。ミルはあたしの椅子の下で大人しく座ったり周りの様子を見ていた。あまりに大人しかったから、最初は犬がいること自体に気づかない人も多かったくらい。


帰りにシングルを借りに行って、Jにミルを会わせてから帰ることに。
Jと電話しだしてから、ミルがいやに跳ね回りだして。商店街でピョンピョン跳ねてた。
公園に着いて待ってると、「案外小さいんだな〜。」と声がして。
振り返ったら、ミルが吠え出した。


ミルのリードを外して、しばらく様子を眺めながら話して。ミルを撫でるあたしの耳や髪をJが撫でてた。穏やかな時間の流れ。夜の冷たい空気。


J宅に寄って、Jママにもミルちゃんをお披露目。Jママは、ちょっと様子が変だったんだけど、ミルを抱っこしたら目をつぶってじっとしていた。すごく喜んでくださった。「忘れないでね。」って。
静岡にもレトリバーがいたらしく、おとなしくて言うことを聞く犬は好きらしい。


JとJ宅を後にして、環七まで。三角州みたいなところで別れようとしたけれど、そこでしばらく話してた。あっさり帰る感じにならなくて。
あたしはサンダルを履いてきてしまっていたから、寒くなってきていて、指先がとても冷たかった。Jの手や首で暖を取ったのはいいけど、あたしが温まった頃には彼が今度は冷えてきてしまっていて、なかなか二人とも温かくなることはできなかった。


「ハグして。」って言ったら、Jがギュッと抱きしめてくれた。強くてびっくりした。そのフワフワしていない強さが、彼そのものな気がした。なんだかとても彼らしくて。純粋に嬉しかった。


秋冬は寒いからこうしてるのはいいねっていう話をしながら、二人には夏しか無かったなぁと思い返す。「残念だね。」と彼(笑)


なんとなく満足して、どちらからともなく別れた。「おやすみ。」って言って。


それ以上のことなんて望んでいいのかよくわからない。今のJとあたしは友人だから。
相変わらず言い出すことは同じ。今日も発言がかぶって笑った。
この人のことは、こうやってずっと先も好きでいるだろうな、と思う。それは昔から確信があった。今でも変わらずそう感じる。死ぬまでお互い好きでいられるだろうって思う。付かず離れず。先のことなんてわからないのに。


ミルと俊ちゃんが付き合ってるんだよって話をしながら、車の中でした俊ちゃんとの最後のキスを思い出してた。キスしてあんなに唇が痺れたのは初めてだった。あの感触が無くならないうちに東京に帰りたくて、車を飛ばして帰ったんだった。余韻が消えてしまわないうちに帰って眠らないと、寂しくてたまらなくなりそうだったから。さすがにそんな短時間で帰宅するのは、実際無理だったけれど。


付き合ってきた人は、皆未だに好きなところはある。温さだったり、誠実さだったり、のほほんとしたところだったり、セクシーさだったり、優しさだったり、賢さだったり。それぞれいろんなところが。
それでも、感覚的にしっくりと合うのはJなんだろうな。俊ちゃんは思考回路が似てるわけじゃない。ずっと一緒にいるのには、おそらく一番居心地がいいんだけど。


もう恋愛なんてできないとも思っていたけれど、こうやってまったりしているのは安らいでいるようでいい。自由で、何も取り決めが無くて。それ故にとても正直。
何も約束は無い。