旅ガラス。

調子悪い。体調もそうだけど、衣装のチェックをしに洋裁屋さんに行こうとミルを連れて歩いてたら、道を横切ったときにタクシーに轢かれそうになった。うちの犬はあたしが轢かれそうになってるのにすら気付かず、前を向いてたけどね。あたしもタクシーの方すら見ずに歩き続けた。すごい急ブレーキだったわ。


凹んでるのかな。御祓いにでも行った方がいいんだろうか。
そろそろ自分の子供が世に生まれてきてもおかしくなかった頃だと思うと、恐ろしい。実際にあと数ヶ月経っても正気を保っていられるのかわからなくて、朝は酷かった。また車でボロボロ泣きながら学校に行った。


自分が社会的にダメ子ちゃんだってことはわかってる。
小学校のときから大学生みたいな子供だったわ。学校は勉強するところだと聞いていたのに、行ってみたら新たに学ぶことが無くて、意味無いじゃん、と思ったら、すぐ教室から出て行っちゃう子供だった。担任は慌ててたけど。


それと、数年前の方が豊かに生きてた気がする。N島さんのことを思い出した。お店閉めた後、夜中まで語らったりして、仲良しだった。ソファーに横になって、どちらからともなくキスした。
バイクの後ろで夜の風を感じてたこと、一緒にロブスターを食べに行ったこと。前の奥さんと住んでたところをドライブ中に通って思い出話をしたり。懐かしい。
そんなことをお風呂で思い出していた。


もしあたしが車ごと海に転落したら、あたしの頭の中の記憶も全部、海に沈んでしまう。永久に誰にも知れることは無いんだな、と思って。
みんなそれぞれたくさんの記憶を持っていて、ときどき他の人の記憶を覗いてみたくなる。


懐かしい人に会いたい。戻りたい。あたしはどこに行っても浮いてしまう。窮屈でしょうがない。
学校に向いてないのかしら。また大学辞めたくなった。